はじめまして。
音楽プロデューサーで選曲家の永山学(ながやままなぶ)です。
ファションショーやイベント等のBGMの選曲、CM、オリジナル楽曲の制作も手がけてます。
幼少の頃、TVのプロレス番組でレスラーが登場する際に流れていた洋楽BGMから興味を持ち、色々な音楽を聴きはじめました。
特に好きだった入場テーマ曲は、ミル・マスカラス「スカイ・ハイ」/ジグソー、アブドーラ・ザ・ブッチャー「吹けよ風、呼べよ嵐」/ピンク・フロイド、ザ・ファンクス「スピニング・トーホールド」/クリエイション(邦楽)です。
長崎の高校を卒業後、専門学校へ入学のため18歳で上京しました。朝夕は学校でしたが夜はカフェバーでアルバイトをしていました。
音楽も洋楽中心で、海外の映画なども流れる当時としてはおしゃれなお店でした。そこで私が選曲家になるきっかけと
なった師匠と出会います。師匠はファッションショーのBGMを担当されていて、
ある日「音楽の仕事に興味があればやってみない?」とお誘いされお手伝いをはじめることになりました。
はじめのうちは、レコードの片付けや機材の掃除などでしたが時が経ち音楽を選曲するセンスや編集技術も学びました。師匠は優しく教えてくれる方ではなかったので背中を見て技術やセンスをマネしながら習得していきました。
音楽を仕事にしたい思い
1990年に入社して数年後に師匠が退社しました。
それから自分でも色々なファションショーの音楽を担当するようになっていましたが選曲という仕事を積み重ねていく中で
「自分の選ぶ音楽で、たくさんの人に感動を与えたい」
「ファッションショー以外の事にも挑戦したい」
という思いが強くなりました。
自分がもっとスキルをみがける場所で、自分で責任を持った環境が必要と考え、独立してより多くの人に音楽の素晴らしさを伝えたい思いがこみ上げてきたのです。
オールジャンルな選曲センス
会社のレコード棚には数千枚のレコードがあったので時間があれば世界中の素晴らしい音楽を自由に聴くことができました。
今はサブスクリプションでたくさんの音楽を定額で聴けますがこの頃はレコードを購入するしかなかったので、とても贅沢な経験をさせてもらったと本当に感謝してます。
そのような日々を繰り返す事で、オールジャンルの選曲センスが身につき、いつしかアブストラクトで実験的な音楽と
メロディアスな相反する音楽をミックスするようにもなりました。
アンビエント、クラシック、テクノ、ジャズ、ワールドオルタナティブ、サウンドトラック、効果音など様々なジャンルの音楽をひらめいた順にターンテーブルにのせてミックスする作業を
何時間も積み重ね、口では説明ができない独自の世界観を作れるようにもなりました。いわゆるDJによるカテゴリーにあてはめられない独特のミックスです。
それはアシスタント時代に素晴らしい選曲家やDJと、たくさんの仕事
に携わらせていただいた経験のおかげでもあります。
ファッションデザイナーさんとの仕事では、ご提案する曲が気に入ってもらえずOKをいただくまで約1ヶ月くらいかかる事もありました。
自分では完璧なストーリーで選曲が構成されてると思っても1曲でも趣味に合わないボーカルやメロディーの曲があるとまた1からやり直す事もありました。料理で言えば「コース料理の中に嫌いな食べ物がある」みたいなイメージです。
時にはプレゼンテーションの前に明かりを暗くしたり、デザイナーさんの好きな食べ物等を準備して気分を盛り上げたりしたこともありましたが何もしないよりは効果がありました。
どんな仕事でもそうですが、相手の趣味や思考を事前にしっかりリサーチしておく事は大切だと思います。
1993年パリコレクションでの出来事
1993年パリコレクションでの出来事なんですが、オープニングの曲が機材トラブルで低音しか出てなくて会場がざわつく場面がありました。
海外の音響の方がMIXERのケーブルをとっさに引きぬいて差し替えたらきちんと再生されたのですが、その間はケーブルを抜く際の
「ジジ…ガガガ…」なノイズも会場内に響き渡る始末です。
その後は無事に終えましたが、自分としては不本意な結果なので恐る恐るデザイナーさんのいる楽屋へ謝りに行きました。
デザイナーさんを見つけ「オープニングの音すみません…」と言おうとしたら、にっこり笑って「オープニングの音がかっこ良かったって、たくさんのお客さん
から好評だよ!」って言われ唖然としました。
いわゆる実験音楽的な演出として、いいイメージに伝わったようです。
お客さんも世界中から多種多様な人々がいらしていたのでこれがパリコレの素晴らしさでもあります。
狙って出来る訳ではないですが、このような出来事もいい思い出であり貴重な経験になりました。
今後の活動
たくさんのお客を動員したイベントは当分の間難しいと思われます。
現在お手伝いさせてもらってます、TOKYO GIRLS COLLECTIONも無観客ですがLINE LIVEなどで多くの人に視聴してもらえてます。
本来は大勢のファンの歓声を浴びながらのライブイベントが望ましいのですが、まだまだ厳しい状況は続くと思います。
このよう状況ですが、今後は映像配信など密集しなくても誰でもが簡単に発信し共感し合える映像番組作りにも携わっていきたいです。
選曲家として感動を届けるミッション
以前、地方イベント終わりでお客様と同じ出口から帰る機会がありました。たくさんの女性客の横を歩いていたら「モデルが可愛かった、やっぱりリアルはいいね!」や「音楽もすごくかっこよかったね!」って言ってくださる声も聞こえてきました。
あの時は2日くらい徹夜して疲れてましたが、すごくうれしくて疲れも吹っ飛びました。なかなか生の感想を聞けるタイミングは無いので、あの言葉は今でも励みになってます。
これからも音楽を通して、より多くの人に感動を届けられる仕事を続けていければと願っています。
永山学の略歴
1984年 文化服装学院ファションビジネス科 入学
1985年 文化服装学院ファションビジネス科 中途退学
1988年 渡英(短期滞在)
1990年(株)サルインターナショナル入社
1993年 フリーランスとして活動
2014年(株)ラロンド設立
2011年に音楽制作した「東京モーターショー2011ホンダ・ブース・センター映像」が経済産業大臣賞を受賞。
2012年公開の角川映画「東京スカイツリー世界一の秘密」音楽監督。
2005~2021年「東京ガールズコレクション」音楽担当。